研究課題
平成28年度は、Cre-GFP発現lentivirus vectorおよびGABA-A受容体alpha4サブユニットfloxedマウスを用いて、①眼窩下神経切断による内側毛帯線維改編への視床VPM細胞tonic GABA電流欠損の影響および②眼窩下神経切断誘発痛覚過敏に対するVPM細胞tonic GABA電流欠損の影響を検討した。これまでに、眼窩下神経切断によるtonic GABA電流の増加は、内側毛帯線維の改変が誘導されるVPM細胞で選択的に認められることを電気生理学的に明らかにしてきた。項目①では、生後14日齢GABA-A受容体alpha4サブユニットfloxedマウスのVPM核へCre発現lentivirus vectorを処置した1週間後に眼窩下神経を切断し、神経切断1週間後のVPM細胞における内側毛帯線維入力を電気生理学的に検討した。その結果、眼窩下神経切断による内側毛帯線維の改編は、tonic GABA電流の欠損により有意に抑制された。さらに免疫染色にて、眼窩下神経切断マウスのVPM核では、非切断マウスと比較して、GABA-A受容体alpha4サブユニット陽性反応が有意に増加することも明らかにした。一方、眼窩下神経の切断は、切断したV2領域の隣接V3領域に痛覚過敏症状を誘導する。項目②では、項目①と同様にtonic GABA電流を欠損させ、痛覚過敏への影響をvon Frey試験で検討した。その結果、神経切断により誘導されるV3領域痛覚過敏症状は、VPM核tonic GABA電流欠損により有意に抑制した。以上より、眼窩神経切断により増加するVPM細胞でのtonic GABA電流は、内側毛帯線維改編の誘導要因であり、さらに神経切断によるtonic GABA電流の増加依存的な内側毛帯線維の改変が、損傷神経隣接領域における痛覚過敏誘導の一因になることも示唆された。
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