本研究では,MRI画像から算出される磁化率分布を用いて放射線治療時の患者体内線量分布の算出を目指すものである.磁化率値は分子に固有の値となっていることから,磁化率分布から画像中の各ボクセルを占める分子を同定することで線量分布算出へ応用する計画であった.磁化率値は,分子に固有のパラメータであるものの,画像ボクセルサイズが比較的大きく,ボクセル内に多様な分子が混在する点や,カルシウム,鉄といった強磁性体の影響を微小量であっても強く受けてしまう点から,磁化率分布から分子の同定には至らなかった.また,磁化率分布のみから線量分布算出への応用も困難であることが判明した.
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