研究課題
本研究は、子宮頸癌の放射線治療における外部照射と腔内照射の高精度な積算線量評価システムを構築することである。今年度は、昨年度に作成した積算線量評価に必要なdeformable image registration (DIR)の精度評価を可能とする可変型女性骨盤ファントムを用いて画像強度と力学変形モデル(輪郭情報)を用いたhybrid DIRの精度評価を実施した。結果としてhybrid DIRを用いることで子宮、膀胱のDIR精度(ダイス係数値)は有意に向上することが確認できた。この結果から、輪郭情報を用いることで従来まで不可能であったアプリケータによる大変形にも対応したDIRを実施することが可能であることがわかった。さらに、当院で外部照射と腔内照射を施行した子宮頸癌患者11症例を用いても同様の解析を行い、hybrid DIRを用いることで画像強度のみを用いるDIRよりも高精度にDIRを実施できることが分かった。また、このファントムと小型ガラス線量計を組み合わせて外部照射と腔内照射の積算線量評価システムの精度検証用システムを開発、構築した。このシステムで使用する小型ガラス線量計の実測測定に必要な基礎実験もすべて実施し、高精度に線量測定が実施できる基盤を構築した。次年度は、このシステムを用いて、外部照射と腔内照射の合算線量の測定値とDIRを用いて算出した合算線量の計算値を比較することで今回開発したシステムの精度検証を実施する予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の予定通り、ファントム及び患者画像を用いてDIR精度検証を実施できた。また、次年度予定していた積算線量評価システムの開発まで実施することができた。
可変型女性骨盤ファントムとガラス線量計を組み合わせて作成した積算線量評価システムを用いてDIRを用いた積算線量の精度検証を行う。
共同研究先の大阪大学への打ち合わせが日程調整が難航し予定回数よりも少なくなったため
来年度は最終年度となり今年度よりも大阪大学への打ち合わせが多くなると予想され、その旅費に今回の余った予算を使用する。
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Medical Physcis
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Journal of Radiation Research
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International Journal of Radiation Oncology*Biology* Physics
巻: 96 ページ: 422-431
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