最終年度は、論文執筆を行い、論文投稿を行った。研究期間全体を通じて、以下のことを達成した。 (1) DIR精度評価用可変形ファントムの作成:アプリケータ挿入前および挿入後のファントムのCT画像は、実際の患者のCT画像に近い形状およびCT値となった。ファントムおよび患者の子宮のおおよそのCT値は、-35HUと70HUであり、膀胱では、90HUと50HUであった。また、このファントムに2-3mmのマーカを複数設置することでDIR精度検証を行えることも確認した。アプリケータを挿入することでファントムが実際の患者のように変形することも確認できた。 (2) DIR精度評価:DIR精度を表すダイス係数値(子宮)とターゲットレジストレーション誤差は、画像強度ベースで0.83、12.7±4.6mm、hybrid DIRで0.98、6.7±2.8mmとなり、hybrid DIRで高いDIR精度であることがわかった。また、患者11名の実際の患者画像を用いてのDIR精度評価では、画像強度ベースで0.47(子宮のダイス係数値)、hybrid DIRで0.81(子宮のダイス係数値)となり、ファントム同様にhybrid DIRで高いDIR精度となった。 (3)DIRを用いた合算線量の精度評価:膀胱が半分だけ膨らんだ状態と完全に膨らんだ状態を用いて検証を行った。DIRによって計算で算出した合算線量とガラス線量計による実測の合算線量差は、10.20±6.64 % (画像強度ベースDIR)、9.01±6.42 %(hybrid DIR)であった。この結果からもhybrid DIRが高い精度で合算線量を算出できることが明らかとなった。
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