FFF(flattening filter free)は放射線治療装置に通常備え付けられているフラットニングフィルタ(flattening filter free: FFF)を除去することにより,従来法と比べ2.5倍~4倍の線量率で出力可能となり,照射時間を短縮することができる.本研究では,FFFを適応した回転型強度変調放射線治療(volumetric modulated arc therapy: VMAT)を用いて,体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy: SBRT)を実施することを目的とした.我々はこれまで,FFFをVMATに適応するためにFFF用に放射線治療計画システム(radiation treatment planning system: RTPS)のビームモデリングや,動体ファントム内の模擬腫瘍を標的とした呼吸による標的の移動を考慮した実測線量の評価を行った.本年度はFFF-VMAT-SBRTを動体ファントムと同様の手順でヒトに対して実施することを目標とした.まず,動体ファントムを用いた実測評価に問題がないことを確認した上で,ヒトを対象とした治療計画を作成し,従来法で作成した治療計画と比較し検討を行なった.治療計画は線量分布とDVH(dose volume histogram)について比較したが,FFFと従来法で概ね一致していた.次に,ヒトを対象とした治療計画を動体ファントムに照射することにより,標的が動く状況での実測評価を行なった.呼吸移動は様々なパターンを想定した.結果はほとんどの測定条件で1%以下の小さな誤差であった.FFF-VMAT-SBRTをヒトに行なっても問題ないと判断した上で,動体ファントムと同様の手順でヒトに対してFFF-VMAT-SBRTを実施した.
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