研究課題/領域番号 |
15K19203
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 卓志 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (60444478)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | BNCT / セットアップエラー / 位置ずれ / 線量評価 |
研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)において,患者照射時にセットアップエラーや位置ずれが生じる場合があり,線量評価の正確性と精度を欠く要因となっている。そこで,本研究では,患者表面3次元データを活用し,照射体位の再現性の向上と,セットアップエラーおよび照射中の位置ずれを反映した線量評価手法の確立を目的として,患者位置の測定方法と線量計算手法に関する検討を進めている。 2016年度は,患者表面3次元データを測定するためのデプスセンサを整備し,対象物の位置および姿勢の計測に関する特性評価を実施した。位置測定精度の評価として,測定対象物の空間座標を変化させた測定を行った。撮像フレーム毎に距離方向の測定値にランダムなふらつきが生じていることが判明したが,数フレーム毎の移動平均を施すことで,数mm以下の十分な位置測定精度が得られることを確認した。姿勢測定の評価として,測定対象物を回転させて角度を変化させた測定を行った。測定対象物の表面に2つのマーカーを設置し,回転前後の各マーカーの座標変化を用いることで回転角度を測定し,十分な測定精度が得られることを確認した。測定対象物のまた,2台のデプスセンサを整備し,異なる角度からの測定を可能としたことで,影となる範囲を低減することができた。これらの結果から,患者セットアップと線量計算に関するソフトウェアでのセンサデータの取り扱いにおいて,複雑なデータ補正等を必要とせず,簡潔な処理が行えるものと期待できる。 今後,患者セットアップ支援システムおよび線量計算システムにセンサの測定データを取り込み,総合的な動作試験を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メーカーの受注生産状況による納期の遅延のため,当初計画では初年度に予定していた患者表面3次元データ測定に使用するデプスセンサの整備に遅れが生じた。そのため,計画を変更して,当初2年目に計画していたソフトウェアに関わる要素の開発を初年度に実施した。今年度にセンサの整備が完了し,十分な測定精度が得られることが確認できたが,センサ整備の遅れに伴う全体計画の遅延のため,ソフトウェアと連携した最終的なシステムとしての完成に至っていない。研究期間を1年延長し,システムの完成を目指す。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である2017年度は,開発済のソフトウェアとセンサを連携させた総合的なシステムを完成させるとともに,動作検証を実施し,線量評価システムとしての確立を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
全体計画の遅延のため研究期間を1年延長したことに伴い,研究成果発表のための費用を次年度に繰り越した。
|
次年度使用額の使用計画 |
開発に必要な物品はほぼ全て揃っているため,研究成果発表のための費用として使用する。
|