本研究の目的は、近年注目されているフラットニングフィルターフリー(FFF)の汎用型リニアックによる強度変調放射線治療計画の有用性と問題点について基本物理線量特性の視点から解明し、FFFの汎用型リニアックによる強度変調放射線治療計画の有用性と問題点を明らかにすることである。FFFリニアックの基本物理線量特性を従来のフラットニングフィルター充填(FF)と比較し、それらの違いを明らかにすることにより、がん患者症例におけるFFFの汎用型リニアックの強度変調放射線治療計画の有用性と問題点を見出し、局所制御向上ならびに有害事象低減のための放射線治療の質の向上に寄与できる定量的データを提供する。 今年度は、近年増加している肝臓がんの定位放射線治療(SBRT)計画に注目した。従来のFF装填ビームと比較して1回線量の高い定位放射線照射の時間短縮が挙げられ、体幹部における呼吸同期や息止め照射が効率的に可能となりうる。FFFビームの線量プロファイルは、従来のFFビームとは異なるため、肝臓がん固定多門SBRTにおいて、FFとFFFビームを用いた放射線治療計画における最適なleaf marginをターゲット線量および正常組織線量低減の観点から定量的に検討および解析した。FFFビームを用いた肝臓がん固定多門SBRTは、FFと比較してぼぼ同等の線量分布であった。肝臓がん固定多門SBRTについてFFとFFFビームにおいて最適なleaf marginの違いに有意な差を認めなかったことを明らかにした。
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