平成28年度では、安全で高精度な3次元画像誘導小線源治療(3D image guided Brachytherapy:3D-IGBT)の提供、均てん化を目指すために、平成27年度に開発した小線源治療システムのQAファントム対して、線源停留位置精度の確認に加えて、線源強度測定、線量分布測定を可能とした。具体的には、ガラス線量計と電離箱線量計を用いてIr-192の線源強度測定を可能にし、またガフクロミックフィルムを用いることで線量分布測定を可能した。これにより、3D-IGBTの主要なQA項目である線源位置、線源強度、線量分布のQA手法を確立でき、品質を保障した。3D-IGBTで患者ごとに腫瘍や正常組織に合わせた高精度な治療を提供するために適切にQA/QCを実施する必要があるが、Ir-192における3D-IGBTの照射精度を定量的に計測するQA方法はないため、ファントム開発を含めたQA方法を確立させた意義は大きい。また、現状市販されている3D-IBGT用の品質保証ファントムは存在しないため、本研究で開発する品質保証ファントムを商品化したことにより、全国の小線源ユーザが行うQA/QCの一助となりうる。本研究で開発したQA手法は実際の治療を模擬したend to end試験を採用しているため、実臨床と同条件で3D-IGBTの品質保証が可能であり、誤照射を未然に防ぐことが可能である。本研究の成果は、第28回日本放射線腫瘍学会、2015年米国医学物理学会で報告し、論文投稿準備中である。また、「ガイドワイヤー先端小線源のアプリケーター内停止位置の検査方法および検査具」という発明名称で特許出願を果たした(特願2015-079160)。さらに、画像誘導小線源治療導入のためのガイドラインを執筆した。
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