3年計画の2年目:本研究課題の目的は、ブタを使った動物実験で四肢末梢へのカテーテル塞栓術を行い、様々な塞栓物質による塞栓効果を比較検討し、また、病理的見地から四肢末梢への障害を検討し、運動器へのカテーテル塞栓術における最適なプロトコールを解明することである。本年度は4頭のブタを用いて実験を行った。まず、無水エタノールを腱板に注入し慢性腱板炎を作成した。血管造影で慢性腱板炎の部位の異常増強効果の有無を確認した。2頭のブタに対してはエンボスフィアを用いて近位側から塞栓術を行い、別の2頭に対しては末梢側から塞栓術を行なった。塞栓後1-2週間飼育し、運動制限の有無を確認した。その後、再度血管造影を行い異常増強効果の再出現の有無を確認。最後に靭帯、皮膚の病理標本を作成して評価した。 結果:いずれのブタにおいても血管造影上、慢性炎症の部位に一致して微小な血管の増生が確認され、エンボスフィアを用いた塞栓によってその微小な血管が描出されなくなることを確認した。近位側から塞栓術を行った2頭のブタは特に目立った症状はなかった。末梢側から塞栓術を行なった2頭のブタは塞栓後5日目に四肢の腫脹と発熱を来たし皮膚の壊死が見られた。血管造影上、比較的太い血管が途絶していた。今後病理像を確認する予定である。 本年度の研究まとめ:慢性腱板炎は安定して作成可能なことが確認された。近位側からエンボスフィアを注入しても皮膚の壊死は見られなかった一方で、末梢側からエンボスフィアを注入すると比較的太い血管の途絶や皮膚潰瘍などを引き起こすことが判明した。今回の研究結果をもって我々は非常に良いPositive controlが得られたと考えており、今後はどの程度の塞栓が安全なのかをさらに検討していく予定である。
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