3年計画であったが、4年間に延長した後の4年目。 本研究課題の目的は、ブタを使った動物実験で四肢末梢へのカテーテル塞栓術を行い、様々な塞栓物質による塞栓効果を比較検討し、また、病理的見地から四肢末梢への障害を検討し、運動器へのカテーテル塞栓術における最適なプロトコールを解明 することである。本年度は3頭のブタを用いて追加実験を行った。まず、無水エタノールを腱板に注入し慢性腱板炎を作成した。血管造影で 慢性腱板炎の部位の異常増強効果の有無を確認した。2頭のブタに対してはエンボスフィアを用いて近位側から塞栓術を行い、別の1頭 に対しては末梢側からチエナムを用いた塞栓術を行なった。塞栓後1-2週間飼育し、運動制限の有無を確認した。その後、再度血管造影を行い異常増強効 果の再出現の有無を確認。最後に靭帯、皮膚の病理標本を作成して評価した。 結果:いずれのブタにおいても血管造影上、慢性炎症の部位に一致して微小な血管の増生が確認され、エンボスフィアを用いた塞栓によってその微小な血管が描出されなくなることを確認した。近位側から塞栓術を行った2頭のブタは特に目立った症状はなかった。末梢側からチエナムを用いて塞栓しても重篤な症状が出現しないことも確認された。本年度の研究まとめ:慢性腱板炎は安定して作成可能なことが確認された。近位側からエンボスフィアを注入しても、末梢側からチエナムを注入しても、皮膚の壊死は見られなかった。追加実験の結果を含めて本年度は論文を作成して提出したが、残念ながら現時点ではacceptに至っていない。今後、引き続き論文のacceptを目指す予定である。
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