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2016 年度 実施状況報告書

熱蛍光薄膜体を用いた真の投与線量分布評価システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K19210
研究機関順天堂大学

研究代表者

黒河 千恵  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20399801)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード放射線治療 / 線量計測 / TLD線量計 / 3次元線量分布 / コーンビームCT / 被ばく線量
研究実績の概要

平成28年度は、前年度に基礎的な特性についての評価を行った熱蛍光薄膜体(TLDシート)に対し、低い線量への感度について評価を行った。これは、TLDシートを用いたマルチリーフコリメータ(MLC)の停止位置の検出、並びに、リニアックに搭載されたCone-Beam CT(CBCT)による患者への被ばく線量の測定のために必要となる。そこで、まず、リニアックから出力される6 MVのX線を用い、0.01 Gy (10 mGy) から20 Gyまでの線量応答性を調べたところ、我々のTLDシート(微量の銅が含まれるタイプ)は非常に高い直線性を持つことが示された。次に、このTLDシートを用いて、患者を模擬したファントムへのCBCTによる被ばく線量の測定を行った。その結果、検出される蛍光量はバックグラウンドのレベルと明確に区別できるものであり、測定された被ばく線量は、他の文献で示されている同タイプのCBCTを用いたシミュレーションによる計算結果とほぼ同等な値であった。また、ファントム内へ鉛、アルミニウム、皮質骨等の水以外の物質を挿入し、不均質な物質に対するCBCTの被ばく線量の測定を行い、TLDシートの検出能力を評価した。以上から、我々のTLDシートを用いることで、CBCTによる被ばく線量を2次元、3次元の線量分布として測定することが可能であること、さらに患者被ばく線量のin vivo測定にTLDシートが適用できることが示唆された。今後は、我々の実験条件を含むシミュレーション計算を行い、計算結果とTLDシートによる測定結果の比較により、定量的な評価を行う予定である。また、このTLDシートをMLC停止位置の検出へも応用し、患者体表面の線量測定の結果とあわせて、患者への真の投与線量分布の測定についての研究を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は、当初の目標であった低い線量に対するTLDシートの性能評価を行うことができた。また、それにより、TLDシートを用いることで、これまで困難であったCBCTの被ばく線量を2次元、3次元の線量分布として測定から得られることが明らかとなった。一方、TLDシートによるMLCの停止位置の検出については、現在研究を進めている段階である。

今後の研究の推進方策

本年度は、TLDシートを用いたMLCの停止位置についての評価を行う。これまでの研究成果から、TLDシートの感度限界は、MLC位置を特定するために必要な感度とほぼ同等と考えられる。もしTLDシートの感度が不足している場合は、TLDシートの開発を行っている立教大学 漆山氏と相談し、必要な対策(シートの厚みを増すこと等)をとることとする。また、前年度得られたTLDシートによるCBCT被ばく線量測定結果を、モンテカルロシミュレーションから得られる計算結果と比較を行い、測定結果の妥当性を定量的に評価する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた国際学会に参加できなかったためである。

次年度使用額の使用計画

今年度は米国での国際学会にて研究成果を報告予定であり、その参加費、渡航費、宿泊費として使用予定である。また、低いエネルギーの光子線(数10 keV)に対するTLDシートの感度を調べるため、低エネルギー光子線の測定が可能である施設への利用料として使用することを検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Feasibility study of CBCT dose measurements with tissue-equivalent thermoluminescense sheet2017

    • 著者名/発表者名
      黒河千恵、漆山秋雄、井上達也、臼井桂介、杉本聡
    • 学会等名
      第113回日本医学物理学会学術大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2017-04-15

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公開日: 2018-01-16  

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