ADHDは注意や衝動性,多動の症状を持ち,近年は化学物質曝露の関与が指摘される。本研究はPCBs・dioxin胎児期曝露濃度と学童期の認知活動の関連をERPのP300を用いて検討した。前向き出生コーホート研究「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」参加児514名中, 同意した80名のオッドボール課題中の脳波を測定した。検査時年齢で調整したモデルでdioxin濃度とP300潜時の正の関連が有意であった。P300潜時はADHD傾向と正に相関した。P300潜時は刺激評価時間を反映するため,胎児期のdioxin曝露により学童期の認知活動が遅延し, ADHD症状に関連している可能性が示された。
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