研究実績の概要 |
糖尿病は生活環境要因・遺伝的要因などさまざまな要因が複雑に関与しあい発症すると考えられているが、その規定要因やメカニズムは依然明らかでない。近年、アミノ酸と糖尿病との関連がいくつか報告されている。そこで、アミノ酸摂取量と血漿アミノ酸濃度を同一集団で把握し、アミノ酸と糖尿病との関わりを評価するため、人間ドック受診女性を対象として研究を開始した。生活習慣に関するアンケート調査、食物摂取頻度調査票(FFQ: Food Frequency Questionnaire)による食習慣の評価、採血および早朝尿の採取が実施された。これらの調査により飲酒・喫煙・運動などの生活習慣や既往歴、各種栄養素摂取量・食品群摂取量などの情報を得た。また閉経前女性およそ350名について血漿アミノ酸濃度が測定された。血漿中の分岐鎖アミノ酸濃度(バリン・ロイシン・イソロイシン)と体格指数、インスリン抵抗性値との間に有意な正の相関(スピアマン偏順位相関係数r = 0.17, 0.10)が見られた。一方、食事由来の分岐鎖アミノ酸摂取量と体格指数、インスリン濃度との間には有意な相関は見られなかった(r = -0.04, 0.07)。今後はFFQに基づきグリセミック・インデックス値(GI値)およびグリセミック・ロード値(GL値)を推定する。又、閉経後女性における血漿アミノ酸濃度についても測定し、関連を検討する。
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