研究実績の概要 |
糖尿病は生活習慣や遺伝的要因などさまざまな要因が複雑に関与し発症する。近年、アミノ酸と糖尿病との関わりがいくつか報告されており、本研究は人間ドックを受診した女性を対象者として、アミノ酸摂取量と血漿アミノ酸濃度の両方を把握した上で、アミノ酸と糖尿病と関連を明らかにすることを目的とした。アンケート調査および食物摂取頻度調査票によって生活習慣や既往歴、栄養素摂取量、食品群摂取量などのデータを構築した。また採尿および採血も実施された。
平成28年度は、閉経後女性およそ150名の血漿アミノ酸濃度が測定された。血漿分岐鎖アミノ酸濃度(バリン・ロイシン・イソロイシン)と体格指数およびインスリン濃度との間に正の相関が見られた (スピアマン偏順位相関係数 r = 0.31, 0.12)。一方で、食事由来の分岐鎖アミノ酸摂取量と体格指数、インスリン濃度との間には負の関連は見られた(r = -0.12, -0.19)。平成27年度は、閉経前女性において血漿アミノ酸濃度を測定し関連を評価しており、閉経前後においてこれらを比較した場合、関連の差は観察されなかった。しかし、閉経状態に関わらず、血中濃度と摂取量の糖尿病リスクマーカーに対する関連には乖離が観察され、既報の結果と一致した。糖尿病リスクマーカーとしては、食事由来のグリセミック指数やグリセミック・ロード値も重要であり、今後これらも考慮した上で、関連を評価する必要があろう。
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