研究課題
本研究では、代表性の高いデータに基づき、幼児の自己制御機能に影響する要因を実証的に検討した。平成27年度に「浜松母と子の出生コホート」(HBC Study)にエントリーしている母子を対象とした面接や発達検査を行い、平成28年度にそのデータを解析した。その結果、春や夏に生まれた子どもは、冬に生まれた子どもよりも自己制御機能が高いことを明らかにした。本年度は、前年度までに得られたHBC Studyの知見をさらに発展させて今後の研究につなげるため、幼児期にある子どもをもつ母親と父親に対するインターネット調査を実施した。有効回答1170組のデータに対して分析を行い、家族関係の質が自己制御機能に影響するかを検討した。また、子どもの自己制御機能(実行機能)に関する尺度、ならびに自己制御機能との関連が指摘されている睡眠習慣に関する尺度の日本語版を作成するとともに、その心理測定学的特性を検証するための研究も行った。実行機能の尺度については、健常中学生2230名と自閉症スペクトラム児91名を対象とした大規模調査の結果、抑制、シフト、情動制御、開始、ワーキングメモリ、計画/組織、整理、モニタという8つの因子が抽出された。内的整合性、継時的安定性、注意欠陥・多動性障害傾向に関する外的基準との関連などを検討し、尺度の構成概念妥当性を一定の水準で確かめることができた(心理学研究に掲載)。また、睡眠習慣の尺度については、健常小学生4396名と睡眠障害児100名を対象とした大規模調査の結果、レストレスレッグス症候群、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、不眠・リズム障害、睡眠習慣、休日の睡眠リズム、睡眠の持続、朝の症状、日中の過度の眠気、日中の行動という9因子が抽出された。内的整合性やテレビ視聴との関連などから、尺度の構成概念妥当性が一定の水準で確かめられた(Sleep Medicineに掲載)。
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Sleep Medicine
巻: 41 ページ: 69-77
10.1016/j.sleep.2017.07.025
心理学研究
巻: 88 ページ: 348-357
10.4992/jjpsy.88.16215
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