研究課題/領域番号 |
15K19227
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三輪 佳織 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80645341)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 新規バイオマーカー / 国際学会参加 / マトリックスメタロプロティナーゼ / MRI |
研究実績の概要 |
平成27年度は、観察研究のデータベースから、認知症発症を主要評価項目として、血清IL-6濃度や血中ホモシステイン濃度が、認知症や血管性認知症発症に関連するかどうか、統計解析を行い、それぞれ論文に報告した。関連研究結果の発表および本研究に関連した海外他施設での研究状況の調査目的でを米国ロサンゼルスで2016/02/17-19に開催されたInternational Stroke Conferenceに参加した。 認知症発症予測に関連する新規バイオマーカーの探索のため、観察研究の登録患者の冷凍血清で、マトリックスメタロプロティナーゼ(MMP)-2,MMP-3,MMP-9とNT-proBNPを外注に委託し、測定が進行中である。 さらに、画像検査において、潜在性の脳血管障害のひとつである脳微小梗塞(Cerebral microinfarcts)が近年注目されており、認知機能低下や脳卒中の関連についての指摘がなされ、これらのサロゲートマーカーとなりうると考えられているが、報告は少ない。脳微小梗塞は最近まで、剖検や7Tesla MRIを用いた画像検査でなければ、評価は困難であった。本邦で普及しつつある3 Tesla MRIによるDIR (double inversion recovery)法は、皮質の画像化がより鮮明となり、脳微小梗塞の検出が可能とされる。そこで、3Tesla MRI DIR法の撮像条件の最適化を行い、皮質の正常構造の描出や脳微小梗塞の診断能について検討し、脳微小梗塞自体の経過や皮質の体積の変化も検討し、脳微小梗塞の臨床的意義、とくに認知機能低下、認知症の関連を評価していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
冷凍血清の検査(MMP2, MMP3, MMP9, NTproBNP)を初年度で全て行う予定であったが、外注委託での研究用検査では1カ月に1回のみ検査と報告のため、時間を要し、全例検査終了には至らなかった。平成28年度には、全例検査が終了の見込みがあり、解析と論文の報告が可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
認知症発症の関連を検討するため、MMP2, MMP3, MMP9, NTproBNPの検査は平成28年度には終了し、解析可能と考えている。これらに、頭部MRI検査のDIR (double inversion recovery)法で検出できる脳微小梗塞(Cerebral microinfarcts)の評価を加えることにより、より認知機能低下の評価能の向上に寄与すると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度中に全例に外注委託で検査ができなかったために、検体測定費と計上していた物品費を使用しなかったため、残高が発生した。残高分の測定費用は平成28年度に検査費用として、必要になる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、対象症例に対し、予定の検査の終了を目指す。
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