研究課題
平成28年度は20~60歳の男性労働者を8年間追跡したデータセットを用いて、更なる詳細な解析を実施した。平成27年度と同様に、血清AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)濃度の上昇に伴って、多変量調整後のメタボリックシンドローム(MetS)発症の相対危険は有意に上昇することを認めた(p for trend<0.01)。一方、血清AIM濃度と糖代謝異常発症との間には統計学的有意な関連は見出せなかった。次に、AIMは肥満との関わりが強いため、肥満の有無で層別解析を行った。BMI25未満に比べ、BMI25以上の肥満では血清AIM濃度とMetS発症との関連性が強いものの、AIM濃度の上昇に伴ってMetS発症リスクが有意に上昇するという関係に肥満の有無別で変化は認められなかった。更に、血清AIM濃度は加齢に伴い低下する傾向があるため、加齢の影響を考慮して血清AIM濃度とMetS発症との関連性を検討した。血清AIM濃度の中央値と年齢の中央値で対象者を4群に分け、AIM低値/40歳未満群を基準にすると、MetS発症の相対危険はAIM低値/40歳以上群で0.80(95%CI:0.37-1.73)、AIM高値/40歳未満群で0.89(95%CI:0.40-1.96)であり有意な変化を認めなかったが、AIM高値/40歳以上群では2.34(95%CI:1.19-4.61)と有意に上昇した(P for interaction=0.02)。以上のことから、血清AIM濃度の上昇は、有意にMetS発症リスクの上昇と関連することが示唆された。特に、40歳以上で血清AIM濃度が高いと、MetS発症リスクが著しく高くなることから、壮年期・中年期における血清AIM濃度測定の重要性が示唆された。
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