研究課題
日本人においては脳出血罹患率が高いことが以前から示されている.健常者において頭部MR T2*強調画像における微小出血(cerebral microbleed; CMB)の所見は、脳卒中とくに出血性脳卒中、ラクナ梗塞のリスク因子であることが指摘されている.複数のコホート研究で、CMBは高血圧症や加齢と関連が深く、将来の脳卒中発症、特に出血性脳卒中を予測する画像マーカーであることが示された.また、脳葉に分布するCMBは、アミロイドアンギオパチーやアルツハイマー型認知症との関連があることも示されてきた.CMB陽性者を見つけ出すことはこうした疾病の予防の観点で重要であるが、スクリーニング目的に頭部MR検査を広く実施することは困難である.非侵襲的で実施が簡便なマーカーを開発することで、疾病予防の研究を大きく発展させることができる.本研究では、CMBを特定することができる簡便な特定方法についてCMBとさまざまな臨床指標との関連を横断的に調査する.対象者の選定については、2013年1月1日からの3年間に長崎県五島中央病院において頭部単純MR T2*強調画像を撮影した成人患者のうち、医療機関に定期通院しているものとした.現在のところ研究へ同意した93名より文書による同意を取得して研究に組み入れを行った.外来にて構造化された問診票を用いて、身体計測情報(身長・上腕長・体重・握力・歩行速度)、基礎疾患、薬剤情報(高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの併存症、抗血小板薬・抗凝固薬・認知症治療薬の有無)、喫煙・飲酒歴情報、教育歴食事習慣・運動習慣・生活活動度・家族歴・介護保険・MMSE・HDS-R・ GDSを評価した.また、CMB画像の読影は、放射線科医が頭部MRI画像データを用いて、臨床情報とは独立して読影し、CMBの個数、局在の診断を行なった.活動量計、動脈硬化指数、遺伝子多型解析(rs429358, rs7412)を行った.今後、得られた各臨床指標との解析を予定している.
2: おおむね順調に進展している
対象被験者のエントリーを順調に遂行できており、平成28年度の計画は予定どおりに進行したため.
対象被験者200名をエントリーし、解析、論文作成ののち公表を予定する.
対象被験者のエントリー数および血液検体発生数を多めに見積って予算案を検討していたため.
最終エントリー数に合わせた予算案になっており、平成29年度に引き続き検査に関わる諸経費を計上する予定である.また、研究成果の公表(学会発表や論文投稿費など)に使用する予定である.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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