研究課題
平成27年度は、農村部住民コホート「篠山研究」では720名(男性330名、女性390名)の市民より調査への協力を得た。推定GFRの分布は、男性:60未満14.2%、90以上12.4%、女性:同10.3%、10.0%であった。尿中アルブミン・クレアチニン比の分布は、男性:30以上299未満3.6%、300以上0.6%、女性:同2.1%、0.3%であった。腎機能に関連すると考えられる尿中ナトリウムの測定および塩味味覚検査、塩味の嗜好に関するアンケートを聴取した。尿中ナトリウムから推算した推定塩分摂取量の平均値は、男性9.1グラム、女性8.6グラムであった。味覚検査を実施したのは、534名(男性215名、女性319名)であり、塩分濃度0.6%で塩味を感じ、うす味に慣れていると判定された者は、男性で58%、女性で71%であった。この割合は、男女とも関東地方において報告されている割合より多いが、アンケートで聴取した塩味の嗜好も含め、男性の方が女性と比べて塩味を好み、かつ、うす味に慣れていない傾向があった。都市部住民コホート「神戸研究」は、2回目の追跡調査が終了し、解析データ構築中である。
2: おおむね順調に進展している
神戸研究における尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)の分析を資金不足のために断念したが、篠山研究においては順調に研究協力者募集の上、尿中L-FABPを分析することができ、論文作成を進めている。L-FABPは、腎機能や動脈硬化に関連する可能性があり、一般集団における知見は見当たらない。篠山研究では食習慣と動脈硬化早期指標について短報を、喫煙状況と下肢動脈硬化早期指標について原著論文を筆頭で執筆し、現在投稿中である。研究計画の縮小があったものの、順調に成果が出ており、総合的に見れば、概ね順調に進展していると考えられる。
篠山研究と神戸研究の2地域においてニュースレターを発送し、次年度の研究検査の受検勧奨を行う。篠山研究では、重点的に腎機能を評価するために、28年度も尿中アルブミン、ナトリウムなどの関連指標の測定や生活習慣問診を行い、さらに新規研究協力者を対象に尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)を分析する。神戸研究でも確立した腎機能関連項目を測定し、篠山の比較集団とする。
平成27年度は神戸研究の検体測定を断念した。そして平成28年度は、ニュースレターのみ発送して検体収集や項目測定は行わない予定であったのを、平成28年度の篠山研究の検体の腎機能関連項目を重点的に測定することにした。神戸研究も確立した腎機能関連項目のみ測定することにした。そのため使用しなかった予算を次年度に回すことにした。
篠山研究および神戸研究の28年度の尿中アルブミン、ナトリウムなどの関連指標の測定を行う。篠山研究の新規研究協力者の尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)を分析する。このうち臨床意義の明らかな項目は研究協力者に返却するため、結果票の印刷や郵送の諸経費に用いる。
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