研究課題
平成29年度は、農村部住民コホート「篠山研究」において、641名(男性286名、女性355名)の調査協力を得、腎機能と関連すると考えられる尿中ナトリウムや動脈硬化早期指標としての心臓足首血管指数の測定を行った。篠山研究については、喫煙習慣と塩味味覚低下との関連についての学会報告をおこなった。地域住民40-64歳の男女を対象に塩味味覚を評価し、塩味味覚閾値1.0%以上を塩味味覚低下と判定した。非喫煙と過去喫煙を喫煙なしとして対照群とした、現在喫煙群における塩味味覚低下の多変量調整オッズ比は、男性2.46(1.20-5.06)、女性1.28(0.25-6.49)であった。その他、メタボリックシンドロームの構成因子(高血圧、脂質異常、耐糖能異常)と動脈硬化および腎機能低下との関連について篠山研究において分析し、肥満の有無にかかわらず、メタボ構成因子を保有することで動脈硬化のリスクが上昇する可能性が示唆されること、男性において肥満は慢性腎臓病(CKD)と関連したことなどを学会報告した。都市部住民コホート「神戸研究」では、検査時血圧が正常域(140/90mmHg未満)の健康な市民892名を対象に、塩分を含んだろ紙を用いた塩味味覚検査と1週間の家庭血圧測定を行った。塩味を初めて感じたろ紙塩分濃度により、対象者を塩味味覚閾値0.6%、0.8%、1.0%以上の群に分類した。家庭血圧は、朝晩5日以上測定できたデータを有効データとし、家庭血圧平均値135/85mmHg以上を仮面高血圧と判断した。塩味味覚閾値0.6%の群を対照とした、同1.0%以上の群の仮面高血圧の多変量調整オッズ比をもとめた場合、男性では有意な差はみとめられなかったが、女性では2.98(1.16-7.64)であった。この知見はHypertension Researchに受理された。
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Hypertension Research
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Angiology
巻: 68 ページ: 769-775