2010年から2016年に当院で単胎妊娠にて分娩管理を行った564例を対象とし、産後1年、産後3年、産後5年に75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を施行した。また、2002年から2009年に妊娠糖尿病と診断された259例の既存の耐糖能のデータも使用し、合計823例を対象とした。産後3か月以内の75gブドウ糖負荷試験などの耐糖能評価にて糖尿病型と診断された8症例は除外した。 分娩時年齢 36.4±4.3歳、妊娠前BMI 22.8±13.8、糖尿病家族歴あり 49.8%。 産後1-3か月時点での完全母乳は248人(45.8%)、非完全母乳(人工栄養+混合栄養)は293例(54.2%)。授乳期間は、3か月未満 30人(14.4%)、6か月以上12ヵ月未満 59 人(28.3%)、12ヵ月以上119人(57.2%)。 産後OGTT施行は、産後1年255例(正常型 198例(77.7%)、境界型糖尿病53人(20.8%)、糖尿病型 5例(2.0%))、産後3年166例(正常型135例(81.3%)、境界型糖尿病29例(17.5%)、糖尿病型2例(1.2%))、産後5年92例(正常型70例( 76.1%)、境界型糖尿病18例( 19.6%)、糖尿病型 4例(4.4%))。 産後1,3,5年の糖尿病発症の有無/耐糖能異常(糖尿病+耐糖能異常)発症の有無と、産後1-3か月の授乳状況は、関連は認めなかった.産後3,5年の糖尿病発症の有無/耐糖能異常(糖尿病+耐糖能異常)発症の有無と、授乳期間(3か月以上、6か月以上、12ヵ月以上)の関連は認めなかった. 産後3ヵ月時点の完全母乳群で非完全母乳群と比較して、妊娠中のインスリン分泌能・感受性は差はなかったが、産後3ヵ月・産後1年のHOMA-Rが有意に低く、産後3ヵ月のDisposition Index(DI)が有意に高かった。授乳期間による差はなかった。
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