研究課題
平成28年度の研究実績は大きく2つに分けられる。(1)うつ病患者における血中バイオマーカーの探索:うつ病患者では血中の脳由来神経栄養因子(BDNF)や多価不飽和脂肪酸(PUFAs)、葉酸が低下しており、うつ病の病態生理学や抗うつ薬の活性との関連が報告されている。さらに、近年の研究においてはうつ病のバイオマーカーとして末梢の成長因子やサイトカインに関する知見が増え、診断や治療へ応用できる可能性が示されている。申請者らは、ミルタザピン服用中のうつ病患者を対象に、うつ病関連マーカーとして血中BDNF、PUFAs(EPA、DHA、AA、GDLA)、葉酸、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)、高感度CRP、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)濃度と治療反応性との関連について検討した。その結果、血中BDNF、PUFAs、葉酸、IGF-1、TNF-α、IL-6、高感度CRP、VEGF濃度のいずれにおいても、治療前後で変化は認められなかった。ミルタザピンの血中濃度と各バイオマーカーとの関連を調査するなど今後の検討が必要であると考えられた。(2)多価不飽和脂肪酸と人格特性との関連:ω3やω6などの多価不飽和脂肪酸は、気分や自殺リスクと関連があると報告されている。申請者らは健常者を対象に、血清中の多価不飽和脂肪酸と人格特性および抑うつ症状との関連を調査した。その結果、血清中の多価不飽和脂肪酸と人格特性や気分との間に有意な関連は認めなかった。これらの結果は論文としてすでにまとめており、国際誌へ受理されている。
3: やや遅れている
科研費を申請した後に、全く予測をしていなかった移動が決定してしまったため、研究遂行に関して新しい施設でのサンプル収集および利用のための準備を進めている。
施設移動に伴い、サンプリングについては現在準備中である。遺伝子解析やタンパク質の測定に関しては、使用する機器などの移動は完了しており、サンプルが集まり次第解析を行っていく予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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