研究課題/領域番号 |
15K19241
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
井階 友貴 福井大学, 医学部, 講師 (10554777)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 健康の社会的決定要因 / ソーシャル・キャピタル / 地域参画型調査法 / 住民参画 |
研究実績の概要 |
【1】アンケートによる介入前評価 研究計画書に基づき、介入前の対象地域の健康状態や、ソーシャル・キャピタルなどの健康の社会的決定要因(SDH)について可及的網羅的に調査するための「健康とくらしの調査」を実施した。福井県高浜町に住む高齢者3,151人に対し、郵送法にて調査を実施、72.5%の回答を得た。この結果をベースライン調査として位置付ける。また同時に、横断研究的に健康と健康行動・社会活動との関連も明らかになっており(例えば野菜摂取頻度とSDHの関係は、女性ではADLが中心であるが、男性では社会的支援が中心である、など)、これをもとに以下の取り組みの方向性を提言した。 【2】「たかはま地域ケアネットワーク」の形成 ソーシャル・キャピタル醸成のための活動を行う母体となる「たかはま地域ケアネットワーク」を形成した。健康関係分野(保健、医療、福祉、介護)だけでなく、まちづくり、教育、商工観光、政策などの分野から、住民や住民団体(たかはま地域医療サポーターの会、まちづくりネットワーク、町議会、公民館長会、商工会など)、行政関係者(保健福祉課、総合政策課、教育委員会など)、専門職(町内医療介護事業所、スポーツトレーナー、野菜ソムリエなど)のあらゆる立場の者が一堂に会し、月1回テーマを決めて議論し、各種団体に向けて活動の提言と協働・効率化を図る「けっこう健康!高浜☆わいわいカフェ」を実施している。 【3】ソーシャル・キャピタル醸成のための具体的活動の実施 上記【2】で出された意見から、実際に実現できる部分をコミュニティの皆さんにより実施いただいている。今までに、無料レンタサイクル、海岸サイクリングロードの整備、野菜に関する情報ページの開設などが実現している。いずれも地域参画型調査法の手法に則った地域主体の取り組みであり、次年度はこれらの活動と健康との関連を明らかにしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り介入前の調査を終え、実際に介入となる活動母体の立ち上げ、およびコミュニティメンバーを主体とした活動の実施まで実現できている点で、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
現行のまま地域主体の活動を推進していき、次年度に活動評価のための追跡調査を実施する予定である。地域主体の活動の推進や追跡調査の実施のため、住民、行政、専門職各団体と密に連携を図りながら計画を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
地域主体の活動を目指しており、研究者から具体的な活動を指示するような方法を取っていないため、暮らしの保健室活動など、今年度中には計画書にあるすべてのソーシャル・キャピタル醸成のための活動を実施できなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度中には地域主体に提案されるソーシャル・キャピタル醸成のための活動を支援し、予定通りの助成金使用が見込まれている。
|