研究課題/領域番号 |
15K19244
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
依田 健志 香川大学, 医学部, 講師 (40457528)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | チェンマイ / 海外在住日本人高齢者 / メンタルヘルス / QOL / タイ / 退職後移住 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度末に実施したチェンマイ在住日本人高齢者へのアンケート調査の結果を解析し、得られた情報から問題点を抽出し、公表するところまで実行できた。結果の公表については、精神的健康度に関するまとめをAging and Society Sixth Interdisciplinary Conference(スウェーデン)で発表し、またQOL(生活の質)に関するまとめを第31回日本国際保健医療学会学術大会(久留米市)で発表した。なお、第31回日本国際保健医療学会学術大会では最優秀ポスター賞を受賞し、本研究を広く他の研究者らに認めてもらえたと自負している。 具体的結果については、精神的健康度については、現在治療中の疾病があることが、抑うつ傾向に結びついていることがわかった。また、QOL効用値に関しては、日本人一般高齢者の平均と比較すると概ね良い値を示しているが、こちらも有病者ではQOL効用値が低下しやすいことがわかった。病気に関しては、医療費や病院の質、言語や文化の違いから、日本にいる時以上にナーバスになりやすく、大きな不安要因であることが自由記述から考察された。 今後は、研究全体のまとめ及び新たに分かった知見を学術雑誌に投稿するとともに、国際学会(10th European Congress on Tropical Medicine and International Health;ベルギー)で発表するべく準備をしている。 また、得られた結果を基に、現地日本人会の方々やチェンマイ大学医学部の研究者らと会合し、課題解決に向けた今後の取り組みや研究推進について話し合い、本研究の更なる発展を考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の調査を踏まえ、本年度は調査結果を解析し、問題点を抽出し、公表する段階まで進めることができた。これは概ね当初の予定通りであり、公表に関しても、国際学会(Aging and Society;スウェーデン)、国内学会(日本国際保健医療学会)でそれぞれ異なる視点からまとめたものを発表することができた。 また、調査結果については、被調査者のチェンマイ在住日本人高齢者の方々へも情報提供と言う形でフィードバックすることができ、またチェンマイ大学の研究協力者らへも情報共有することができた。 現時点で調査研究に遅れや支障はなく、至って順調に調査研究を遂行することができており、次年度の研究成果のまとめ及び論文化と、今後の課題への対応についてのチェンマイ大学研究者らとの討議も予定通り遂行できる環境が整っているため、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現段階で、質問票による調査は完了し、結果の解析も概ね終わっている。今後は、結果をまとめて学術雑誌へ公表することと、全体の結果について、国際学会へ発表する予定である。(現在10th European Congress on Tropical Medicine and International Healthへ投稿中) また、当該結果を基に、チェンマイロングステイライフの会やチェンマイ定住者集いの会の代表者らと再度話し合う機会を設け、問題点の有効な解決策について議論していきたい。同時に、チェンマイ大学医学部の研究者らとも会議を行い、本研究をどのように発展させていくかについて、建設的な議論を深め、将来的にはチェンマイ大学との国際共同研究という形に発展できるよう努力していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定であったヨーロッパ公衆衛生学会ではなく、Aging and Societyで結果の一部を公表することになったため、旅費や参加費に関して、当初計画より少額になってしまったため。 また、調査が順調に進んだため、調査が上手く行かなかった場合の予備調査費用に関して、使用することが無かったので結果として少額を繰り越すことになったので。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、国際学会での成果発表の他、英語論文の執筆を行うため、英文校正費や論文作成のための参考書籍代、作成に必要なPCソフト代等に費用が掛かる予定である。また、現地在住者や現地研究者らと会合を行うための旅費や会場借り上げ費用もかかるため、繰り越し費用を含め、適正に使用することが可能である。
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