研究課題
最終年度は、これまで実施し集計した調査票の解析と、その公表を行った。公表場所は第10階ヨーロッパ熱帯医学・国際保健学会(10th European Congress of Tropical Medicine and International Health; アントワープ、ベルギー)で、公表内容の概要については以下のとおりである。チェンマイ在住日本人高齢者のNPO団体2団体が主催する2016年2月の各定例会に出席した参加者のうち、調査内容を理解し、協力の同意を得た108名を対象にアンケート調査を実施した。調査項目は性別、年齢、家族構成、滞在期間、年収、現病歴等の各項目と、QOLに関してはEQ-5D-3L日本語版を用いた。得られた回答から効用値換算表に基づき効用値を算出し、年代別、現病歴の有無に関して効用値の平均の差を比較した。有効回答数は97であった(回収率89.8%)。回答者の平均年齢は69.5±5.9歳であった。現病歴ありと回答した人は67名であった。QOL効用値の平均値は0.918±0.140であった。チェンマイ在住日本人高齢者と日本に在住する一般高齢者のQOL平均値を比較すると、チェンマイ在住日本人高齢者の方がどの年代も高い数値を表した。すなわち、チェンマイ在住の高齢者の方が高いQOLを維持できていると言える。しかし、メンタルヘルスの状態を見たGHQ28による解析結果では、不安、抑うつともに同年代の日本人より数値が悪い傾向にあり、QOLにおいても極端に低い効用値を示す人も少なからずいたため、QOL低下や不安・抑うつの要因について更に精査し考慮していく必要があると考える。
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