学級閉鎖について情報を集め、解析を行ったが、閉鎖回数が少なく、解析には不十分であった。そこで、流行防止対策として最も重要であるインフルエンザワクチンの効果について学童・児童を対象に行った。インフルエンザのワクチン効果は2011/2012から2013/2014シーズンで補正ワクチン効果はインフルエンザAに対して 32%(95%信頼区間5%~51%)、インフルエンザBに対して13% (95%信頼区間-29%~41%)であった。過去3シーズンのインフルエンザワクチン歴やインフルエンザ感染歴を補正した形でワクチン効果を算出したのは世界で初めてであった。また、過去のワクチン歴を含めた検討では、過去のワクチン接種歴が多いほど、ワクチン効果が低かった。統計学的な解析では、過去のワクチン接種回数に用量依存的にワクチン効果は低くなっていた。近年、連続したワクチン接種による減衰効果を示した研究は多くみられるが、多くの研究が過去1シーズンのワクチン接種歴のみの検討であり、本研究は世界で初めて過去3シーズンのワクチン接種歴とインフルエンザ感染歴を考慮したうえで、ワクチン連続接種によるワクチン効果の減衰を示すことに成功した。本結果は感染症領域で最も権威がある国際誌の一つClinical Infectious Diseaseで報告した。また、同様の報告を第91回日本感染症学会総会、第1回臨床疫学会で口演発表を行った。
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