研究課題/領域番号 |
15K19254
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
土井 崇広 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (90516767)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イミダゾリジニルウレア / 化粧品 / ホルムアルデヒド遊離型防腐剤 |
研究実績の概要 |
イミダゾリジニルウレア【N,N''-メチレンビス[N'-(3-ヒドロキシメチル-2,5-ジオキソ-4-イミダゾリジニル)ウレア]】(以下IU)はわが国の化粧品基準において、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すものに対して100g中に0.30gまでの配合が認められている。当該防腐剤は、上記名称のとおりの単一化合物と考えられていたが、我々はこれまでに親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)を用いて、当該防腐剤の水溶液が少なくとも7種類以上の化合物の混合物により構成されることを確認している。 当該防腐剤の毒性・機能評価のため、確認された全てのピークの単離・精製を試みた。アミノプロピル基で修飾された破砕状シリカゲル担体を用いて、HILICモードでの精製を実施したところ、分取した画分からは2種類のピークしか確認できなかった。アミノプロピル基の影響により分解されていたものと考えられたため、反応性の低いと考えられる、トリアゾール型のHILICカラムを用いることとした。分取サイズのHPLCを用いて各ピークを分取して凍結乾燥したところ、7化合物のうち3化合物が分取~凍結乾燥の工程で分解することが明らかになった。 精製法検討の過程で、IUはallantoinと1-[4-(hydroxymethyl)-2,5-dioxoimidazolidin-4-yl]urea(4-HU)の2種類の化合物まで分解されるという知見が得られたため、類似物質であり4-HUを母骨格とするジアゾリジニルウレアに同様の手法を用い、試薬として入手できない分解物4-HUを効率的に得る手法を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イミダゾリジニルウレアの分解物が想定以上に精製が困難であり、すべての分解物を同定・精製することができていないため、研究の進展にやや遅れが出る結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
イミダゾリジニルウレアについては化粧品中での残存性等も考慮し、2種類の最終分解物について皮膚感作性の評価を行う。DMDMヒダントインについては、4種類の分解物のうちこれまでに必要量を準備できていない3-MDMヒダントインを調製したのち、皮膚感作性評価に進むことを想定している。皮膚感作性試験には、HPLCで実施可能なペプチド結合性試験を用いることとし、その結果陰性となったものを中心に抗菌性評価試験を実施することで、皮膚感作性と抗菌性を担う分解物を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
イミダゾリジニルウレアの分解物が想定以上に精製が困難であり、すべての分解物を同定・精製することができていないため、研究の進展にやや遅れが出る結果となっている。前年度までの分も含めて研究計画の遅延のため使用残額が発生しており、2018年度は皮膚感作性試験・抗菌性評価等の実施により研究費を支出することを予定している。
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