日本における既存統計資料を活用した医療政策の評価を実施し、社会格差との関連を検証し報告した。本研究では、日本における医療政策が、ポピュレーション全体に与えた影響だけでなく、社会経済状況・地域等に由来する健康格差に与えた影響について、統計資料を活用することにより定量的に評価検証した。 インターネット調査データを分析し、通常の紙巻きタバコは学歴の低い人ほどよく吸う傾向があることが知られているが、加熱式タバコの場合には明確な学歴格差がみられなかった(Miyazaki&Tabuchi 2018)。加熱式タバコの使用と学歴との関係を調べた研究は世界で初めてであり、今後もインターネット調査データの積極的活用を展開していきたい。 また、誰でも利用できるGoogle検索データ(Google TrendsというWEBサイトで得られる特定の検索ワードに対する検索ボリュームの推移)を活用し、日本におけるタバコ対策の「禁煙」への関心に対するインパクトを推定した(Tabuchi 2018)。本研究は、タバコ対策の中でも最も重要な政策であるタバコの値上げの与えた影響の持続期間について調べた世界的にも数少ない研究である。タバコ値上げの影響の持続期間は比較的短いと分かり、継続的にタバコを値上げすることの重要性を示唆した。 これらの研究は新聞等により広く住民に伝えられた。こういった研究を推進することにより、健康格差の縮小に資する個別化・みえる化した詳細情報を政策担当者および住民に提供することができる。
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