研究課題/領域番号 |
15K19257
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研究機関 | 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病 |
研究代表者 |
村木 功 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, 医師 (70731561)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸 / 心房細動 |
研究実績の概要 |
本研究では、秋田県、茨城県、大阪府の3地域において、平成13~17年の住民健診で睡眠時無呼吸の検査を実施した受診者(40~74歳男女約5300人)を対象とし、その後の住民健診・特定健診による健康状態の変化および脳卒中・虚血性心疾患の発生調査による脳卒中・虚血性心疾患の発生状況を把握する。これらの調査結果を用い、睡眠時無呼吸が腎機能低下、脳卒中・虚血性心疾患、心不全の発症と関連しているか否かを明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、これら対象者のうち、睡眠時無呼吸の検査時点において心房細動がなかった者について、その後の心房細動の発生との関連について分析した。睡眠時無呼吸の有無は睡眠1時間当たりの3%以上の血中酸素飽和度の低下頻度(3%ODI)が5回以上と定義した。心房細動(ミネソタコード8-3-1)は健診時の心電図検査にて確認した。平成27~29年調査時までに343人が心房細動を新たに確認された(平均追跡期間8.0年)。統計解析の結果、睡眠時無呼吸を有さない者と比べて、睡眠時無呼吸を有する者の心房細動発症に対する性・年齢調整ハザード比は1.53(95%信頼区間:0.97-2.42, p値=0.07)と境界性の関連であった。この関連は飲酒、喫煙、高血圧、糖尿病を考慮すると、やや弱くなるものの、境界性の関連は保たれた。60歳未満と60歳以上で層別化した分析より、飲酒、喫煙、高血圧、糖尿病を考慮したハザード比は、60歳未満では2.41(1.09-5.34, p値=0.03)、60歳以上では1.12(0.63-1.98, p値=0.71)と若年でより強い関連を認めた。 以上より、睡眠時無呼吸は心房細動を、特に若年において、有意に増加させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
秋田県、大阪府、茨城県の対象地域において、特定健診による追跡調査は当初の予定通り実施できている。また、脳卒中・虚血性心疾患の発生調査についても当初の予定通り実施できている。 昨年度までの計画で遅れが発生していた凍結保存血清を用いたNT-proBNPの測定については、今年度8月末までに742検体を測定し、1月末までに706検体を測定した。昨年度までの遅れは取り戻した状況である。平成29年度は予定通り、研究を遂行する見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
秋田県、大阪府、茨城県の対象地域において、特定健診による追跡調査および脳卒中・虚血性心疾患の発生調査を引き続き実施していく予定である。凍結血清を用いたNT-proBNPは追加測定が必要な対象検体について検体の測定を行う予定である。 これまでに収集したデータを用いて、順次論文等により公表を図っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文等の執筆・公表が遅れていることにより、英文校正・論文掲載料などの費用の支出が行われていないことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
論文等の執筆により英文校正・論文掲載料として支出する予定である。
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