研究課題/領域番号 |
15K19265
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
水野 祥子 関東学院大学, 看護学部, 講師 (60728179)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 助産ケア / 院内助産システム / 満足度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、利用者の視点から院内助産システムにおける助産ケアの評価を明らかにすることである。院内助産システムを利用して出産した産後3ヶ月以内の母親を対象に、インターネット調査を実施した。調査内容は、対象の属性、日本語版Client Satisfaction Questionnaire8項目版、妊娠期・分娩期・産褥期に受けた支援についての満足度に関する質問20項目である。満足度に関する調査項目は、「医療機関における助産ケアの質評価」(日本看護協会,2015)と前年度実施したインタビュー調査を基に、独自に作成した。スクリーニングにより抽出されたモニタから、ランダムに配信したのち、研究協力の得られた103名を対象とした。平均年齢は30±4.4歳、在院入院日数の中央値は5.0日であった。院内助産の設置は、産科病棟内が最も多く88.3%であり、既存の産科病棟内の一部で運営している施設が多いことが推測される。助産師の関わりも、妊婦健診を担当した助産師が出産に立ち会った43.7%、出産に立ち会った助産師に産後のケアを受けた82.5%であり、妊娠期から分娩、産褥期まで継続したケアを受けた人は40.8%と5割以上の妊産婦が、助産師外来から分娩までの継続ケアを受けていない現状が明らかとなった。一方、総合的な評価では助産師の言動・態度・説明等に関して86.4%が満足していた。またCSQ-8J各項目においても、66.0~95.2%が肯定的な評価をしていた。CSQ-8J総得点と年齢、初経産、在院日数で比較したところ、いずれの場合も有意差はなかった。各時期では、分娩時のケアについて「助産師は負担にならないように存在した」、「産婦に寄り添い、安全・安楽で快適なケアであった」、「医師との連携は適切であった」と評価が高かった。今後は、助産ケアの質を評価していくための指標を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定ではアンケート調査であったが、ネット調査に変更したことで短期間で調査ができた。また依頼した調査会社で初めて調査する対象であったが、スクリーニング調査結果から全国で院内助産師システムを利用した対象者が予想以上に確保できたことが影響し、順調にデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象者が限られていると懸念したが、今回依頼した調査会社に登録しているモニタのなかから、調査に必要な対象者を確保できることが明らかとなった。そのため、対象者数を増やし、今回の分析結果からさらに調査項目を見直し、助産ケアを評価するための指標を検討していく。さらに、院内助産システムと産科病棟の利用者でのケア評価を比較し、院内助産システムにおける質的評価を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の調査を踏まえ、調査方法をネット調査に変更したことにより、院内助産システムを利用した母親を対象とした調査が可能であることが明らかとなった。そのため、次年度も確実に研究対象者を確保できる方法に変更し、調査会社へ調査を依頼するための費用を確保した。また、アンケート調査では関東圏を計画していたが、ネット調査では全国を対象とした調査が可能となり、研究協力も多数得られることが推測でき、そのための費用が必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究課題における最終年度の計画は、助産ケアの質的ケアを量的研究から評価することである。これまでの調査結果を活かし、インターネット調査にて院内助産システム利用者と産科病棟利用者の結果を比較分析するため、300名を対象としたネット調査費用として使用する。
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