最終年度は、助産ケアの質的評価として、院内助産システム利用の有無によるケアの満足度を比較し、継続的な助産ケアの質について検討した。 調査対象は、産後3カ月以内で院内助産システムを利用して出産した母親と利用しなかった母親各206名とし、前年度の調査実績からインターネット調査を実施した。調査用紙は、前年度の分析結果を踏まえ、各時期におけるケア項目を修正して用いた。 対象の平均年齢は、30.53±4.47歳、初産婦42.0%(システム利用者42.7%)であった。院内助産システムの形態は、産科病棟内90.8%が多く、病棟外の形態はハード面や人員配置による課題から少ない傾向にあった。一方、院内助産システムを利用しなかった場合の病棟形態についても、産科単科は13.1%と少なく、産婦人科病棟71.4%、混合病棟15.5%であった。継続ケアは、院内助産システムにおける特徴とされており、院内助産システムを利用しなかった場合と比較して継続ケアを受けた割合は有意に多かった。しかし、前年度の調査結果と同様、院内助産システムを利用したにも関わらず継続ケアを受けたと認識している母親は38.3%であったことが明らかとなった。 各時期における助産ケアの評価は、妊娠期5項目、分娩期3項目、産褥期3項目で有意差があった。助産ケアの内容では、各時期で「家族が満足できる対応」について院内助産システムとの差が明らかとなった。 以上から、院内助産システムにおいても継続ケアは課題であり、今後は利用者である母親のニーズに基づき、家族も含めた助産ケアの質を評価できる指標を作成するとともに、出産施設における満足度調査の実施、情報公開に向けたシステムの構築が必要と考える。
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