本研究の目的は死後撮影CTを用いて眼球近位部の視神経鞘出血がどの程度,診断可能かどうかを明らかにすることである.期間中4例の視神経鞘出血の症例を経験した.そのうちCTで視神経鞘出血を疑えた症例は1例あった.また,CTで視神経鞘出血を疑ったが,実際には出血を確認できなかった症例が1例あった.これは視神経鞘周囲のうっ血であったと判断され,CTのみでの視神経鞘出血の特定は困難であると考えられた.最終的に視神経鞘出血は頭部への加速度によって,視神経が後方に牽引され,眼窩に固定されている眼球との接合部にストレスがかかり,Zinn-Haller動脈輪が破綻して動脈性出血が生じているものと考えられた.
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