研究課題/領域番号 |
15K19269
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
永澤 明佳 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30536735)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 危険ドラッグ / 突然死 / 遺伝子変異 / LQT遺伝子 / 不整脈 |
研究実績の概要 |
司法解剖における覚醒剤及び危険ドラッグ使用事例の心血、心筋を用いて、QT延長症候群の原因遺伝子と考えられているLQT遺伝子の1.2.3の遺伝子変異の検出を行った。その結果、覚醒剤使用中の突然死事例においては遺伝子変異に有意な差は見られなかったが、危険ドラッグ使用者における突然死事例では、LQT1及び2にて検出された遺伝変異に有意な差が見られた。よって、先天的にこれら遺伝子変異を持つ人が危険ドラッグを用いることで、通常量の使用においても突然死することが示唆された。 有意に検出された遺伝子のノックダウンマウスの作成を試みたが、うまくノックダウンされなかったため、心筋細胞を用いた実験に変更した。SiRNAを用いて心筋細胞において目的遺伝子のノックダウンを行うことができたため、今後はこの細胞を用いて実験を進めて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
目的症例である危険ドラッグ使用事例が、危険ドラッグの使用者の減少により収集するのに時間がかかった。また、予定していたノックアウトマウスの作成がうまく行かず、ラットを持ちいた実験から細胞を用いた実験に変更したため、細胞における実験モデルを構築し直した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、危険ドラッグ使用中の突然死事例において有意に多く検出される遺伝子が明らかになった。今後は目的遺伝子をSiRNAにてノックダウンした心筋細胞及び通常の心筋細胞に各種危険ドラッグを作用させ、回収した蛋白質をToF/MSにて解析し、両細胞における蛋白発現変化を比較することで、目的遺伝子欠損時の突然死特有の標的蛋白質を同定する。合わせて、RNAを抽出し、標的蛋白質のmRNA発現量についてreal-timePCRを持ちいて比較検討を行い、標的蛋白質の有効性を確認する。また、不整脈関連遺伝子を検索するために、薬剤性QT延長症候群を誘発するとされているクロルプロマジンの投与にて変化が認められている内向きの整流カリウムチャネルの遺伝子、Na/K/Ca交換体の遺伝子、遅延整流kチャネル遺伝子について検討する。 これらの結果をまとめ、危険ドラッグ誘導性の不整脈による突然死に特異的なマーカーを検索し、検出されたマーカーを実際の解剖検体に応用することで、先天的QT延長症候群の原因遺伝子SNPがある人における危険ドラッグし用事の突然死事例の死因診断法の開発を行って行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年間の産休育休取得のため、実験を行うことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後ノックダウン細胞を用いて、原因遺伝子と薬物の作用の関係性について考察していく予定である。また、不整脈特有の遺伝子の発現量変化について見ていく予定である。
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