法医学で扱う突然死症例のうち遺伝性致死性不整脈などの機能的な死亡では解剖において形態学的所見は乏しく診断に苦慮する事例がある。遺伝性不整脈の病態を解明するには家系・症例を多数集積する必要がある。本教室では心臓イオンチャネル遺伝子の変異解析を行い報告しているが、本研究ではSCN5A遺伝子の変異解析を行い遺伝子診断の有用性について検討を行った。急性心機能不全と診断された症例および拡張型心筋症症例各1例においてp.Phe532Cysが検出された。この変異は病原性変異が強く示唆されており致死性不整脈が引きおこされた可能性が考えられた。
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