研究課題/領域番号 |
15K19286
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
清原 信昭 島根大学, 医学部, 助教 (50733656)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 有限要素法 / 2型糖尿病 / 椎体骨折 / 臨床CT画像 / 骨質 / 構造特性 / 材質特性 |
研究実績の概要 |
2型糖尿病では骨密度が高くとも骨折リスクが高く、骨質低下により骨折リスクが増加する。骨の構造的要素は骨質を構成する要素だが、骨折リスクとの関連は解明されていない。 臨床CT画像を活用し、有限要素法で算出した骨強度指標は、椎体骨折の有無間で、骨密度とともに有意差を認めなかった。この強度計算では、材質特性値として、2型糖尿病患者よりも骨強度が保たれている、非糖尿病者の材質特性で強度をシミュレーションする。骨折者と非骨折者の強度に有意差を認めない理由として、2型糖尿病患者よりも良好な材質特性を有するシミュレーションであったことから、構造に反映されない骨脆弱性、すなわち骨質構成要素のうち、材質特性劣化によって2型糖尿病患者の骨脆弱性が亢進していることが明らかとなった。 また動物実験用画像解析プロトコルを改良し、臨床CT画像から椎体海綿骨の骨微細構造指標を計測する計測手順を確立した。このヒト臨床用プロトコルを用いて椎体骨折の有無間で、椎体海綿骨微細構造を比較した。海綿骨微細構造は、椎体骨折者で有意に劣化した構造を有しており、構造的劣化による骨質低下が2型糖尿病患者の骨脆弱性に関与していることを明らかにした。 本研究により、臨床CTを用いて、椎体海綿骨微細構造指標による構造的骨質計測方法を樹立した。また有限要素法により、2型糖尿病患者の骨脆弱性亢進機序に、非糖尿病者よりも劣化した骨材質特性により、骨脆弱性が亢進した病態が存在することを間接的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
椎体骨の海綿骨微細構造と骨脆弱性の関連を検討するために、国内でCT画像から有限要素法の画像解析を受託する唯一の検査会社に画像解析を依頼した。 臨床CT装置からの解析依頼は初であり、実験動物用の解析プロトコルの改良、再現性の確認に時間を要し、平成28年度末に検査結果の納品が遅延した。 平成29年3月末に検査解析データが納品されたが、骨折との関連の統計解析および支払いが年度内に完結しないことが見込まれたため、補助事業期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
納品されたデータと椎体骨折との関連を統計解析し、骨折者では椎体微細構造が劣化していることが確認された。所期に計画した検討はすべて完遂することができた。 本結果を英文投稿し国内外に成果発表するため、執筆を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
椎体骨の海綿骨微細構造と骨脆弱性の関連を検討するために、国内でCT画像から有限要素法の画像解析を受託する唯一の検査会社に画像解析を依頼した。 臨床CT装置からの解析依頼は初であり、実験動物用の解析プロトコルの改良、再現性の確認に時間を要し、平成28年度末に検査結果の納品が遅延した。 平成29年3月末に検査解析データが納品されたが、骨折との関連の統計解析および支払いが年度内に完結しないことが見込まれたため、補助事業期間の延長を申請した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年5月または6月中に画像解析に対する検体測定料の支払いが完了する。研究成果報告書に関する雑費を年度内に支出する予定である。
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