研究課題/領域番号 |
15K19288
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
松村 晃寛 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20464498)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 酸化ストレス / ROS / redox status / アミロイドβ / ミクログリア |
研究実績の概要 |
本研究はアルツハイマー病(AD)モデル動物を用いて神経変性時および治療介入時の脳内酸化ストレスの動態を新規画像技術である“in vivo EPRイメージング法”で解析する。そして、その結果を免疫組織学的手法などによりAD様病理変化およびミクログリアを中心とした神経免疫システムの動態と比較検証してADの病態解明を試み、新規治療法を考案するための根拠となる基礎的データを提供することを目的に開始した。 まずはADモデル動物として家族性ADのダブルトランスジェニックマウスであるAPdE9マウスとそのlittermatesである健常(WT)マウスを用意し、生後3、6、9、12、18ヶ月のAPdE9マウスおよびWTマウスについてEPR測定を行い月齢群ごとに脳内酸化ストレスを評価した。結果は、血液脳関門通過性プローブMCPの還元速度定数をRC(rate constant)、AD病理変化が顕著に起こる海馬RCと、病理変化をほとんど認めない中脳RCの比をRRHM(ratio of RC in the hippocampus to that in the midbrain)と定義して月齢別にWTおよびAPdE9マウスのRRHM平均値を比較したところ生後9ヶ月以降のAPdE9マウスでRRHMが有意に減少し、酸化ストレス亢進が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
未処置APdE9マウスやWTマウスのEPR評価は進捗し、結果を雑誌に投稿し掲載されたものの行動評価や生化学的評価は現在進捗中の状況で、まだ治療介入の段階には至っていない。そのため進捗状況としてはやや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はモデル動物の行動評価法の確立、および酸化ストレスバイオマーカーや脳組織ホモジネートを用いたEPR測定など生化学的評価をまず試みる。その上でα7nAChR刺激薬や抗酸化ストレス薬などによる治療介入を開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、APdE9マウスは当施設において繁殖しているが、平成27年度は繁殖状況が比較的良好で繁殖の際の母親になるマウスの購入をあまり多くは要さなかった。また、各種試薬も手持ちのものから使用し始めたため当初予定よりも研究費の支出が少なく次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の使用計画としては、一つは繁殖用の母マウス購入費用ならびにマウス飼育の管理・維持費用としての使用を計画している。また、EPR用のプローブ試薬、組織学的評価や生化学的評価に用いる各種試薬や治療介入用の各種試薬、その他実験用の消耗品などの購入費としても使用を計画している。他には、研究成果の発表や、関連学会に参加して最新の知見を深めるための旅費への一部使用も計画している。
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