C型慢性肝炎に対する抗ウイルス治療前後での肝硬度変化について、MR elastogtaphy(MRE)を用いて検討した。インターフェロンを用いない経口薬により抗ウイルス療法を行った52症例について、治療前後にMREを施行し肝硬度を測定した。肝硬度の中央値は治療前3.69kPa、治療終了時3.01kPa、終了6か月後2.59kPaと経時的な改善を認めた(p<0.0001)。治療前と比較して終了6か月後に48例(92.3%)で肝硬度は改善、しかし少数ながらC型肝炎ウイルス排除(sustained viral response:SVR)を達成しても肝硬度の増悪を認める症例が存在することを見出した(4例、7.7%)。肝硬度改善に寄与する因子の検討では、単変量解析で年齢<70歳(p=0.024)、治療開始時の肝硬度>4kPa(p=0.032)、治療開始時のALT>45IU/l(p=0.029)が肝硬度改善に寄与する因子として抽出された。多変量解析ではこれらの因子何れも有意差を認めなかった。経口薬投与によりSVRを達成するとほぼ大多数の症例で肝硬度改善を認めることから、肝硬度改善が乏しい少数例の特徴を見出すには更に多くの症例蓄積が必要であり、将来的にMREが施行可能な施設と共同研究を行うことも視野に入れる必要がある。MREを使用し肝全体の肝硬度測定と同時に肝癌サーベイランスも施行可能であった。抗ウイルス療法後に肝硬度改善が乏しい症例の特徴を解析する事で、SVR後発癌の高危険群の囲い込みに応用できる可能性がある。
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