研究実績の概要 |
本研究は、外来患者における受診理由と症状を分析することを目的としている。症状は、国際プライマリ・ケア分類(International Classification of Primary Care; ICPC)を用いて標準化した。平成27年度は、自治医科大学附属病院総合診療部門の診療録の記載を調査した。調査項目は、受診日、年齢、性別、症状、診療医師の特性である。診療録は、SOAP形式、詳細表記形式(主訴、現病歴、家族歴、既往歴等)の2種類からなり、それぞれのS(Subjective)、主訴、現病歴から症状を抽出した。診療録に記載のある症状を、自動抽出システムを用いて抽出した。平成28~30年度は、山口県立医療センター救急外来の診療録の記載を調査した。平成28年4月1日~平成29年3月31日の1年間に救急外来を受診した16歳以上の12,349件の診療録を対象とした。診療録は#SOAP形式であり、#、S、O(Objective)、A(Assessment)から106,082症状を抽出した。各症状に対してICPCの要素1(愁訴と症状)のコードを付与した。臓器系17分類において頻度の多い順にD(消化器)、S(皮膚)、A(全身と不特定の問題)、 N(神経)、 R(呼吸器)であった。また、コードにおいて頻度の多い順にA03(発熱)、D10(嘔吐)、N01(頭痛)、N07(痙攣/発作)、S06(限局性の発疹)、S07(全身性の発疹)であった。研究の成果を平成30年10月にソウル(韓国)で開催されたWONCA world conference(世界家庭医療機構世界大会)にて発表した。
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