研究課題/領域番号 |
15K19296
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
内山 雅照 帝京大学, 医学部, 助教 (60713295)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 漢方薬 / 漢方生薬 / マウス / 心臓移植 / 拒絶反応 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
臓器移植における最大の課題である拒絶反応を抑制、制御する薬剤の探究のため、保険適応となっている148種類の漢方薬とその構成生薬をマウス心臓移植モデルに投与し、生着延長期間を調査した。当研究は2012年度科研費(基盤研究C; H24~H26年; 課題番号24590900; 研究代表者 新見正則)で採用された研究を発展させたものである。 平成27年度は網羅的に解析した全148種類の漢方薬の中で、四逆散(TJ-35)を調査した。四逆散は芍薬、枳実、甘草、柴胡を構成生薬とする漢方薬であり、四逆散投与により約20日間の平均生着期間を認めた。同時に単独生薬投与群も調査し、甘草投与群のみが18日間の生着延長効果を認めた。当研究は日本東洋医学会雑誌に報告予定である。さらに、甘草の構成成分を調査し、単独成分ごとの投与群を調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・保険適応の漢方薬の内、四逆散と小半夏加茯苓湯を調査した。 ・その構成生薬で、主に茯苓、半夏、生姜、芍薬、枳実、甘草、柴胡投与による調査も行った。 ・四逆散は日本東洋医学会雑誌に、小半夏加茯苓湯はChinese Journal of Integrative Medicineに報告済みである。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の実験を更に進める。特に、甘草の成分の解析を継続すると同時に、各成分ごとの投与群を作成する。また、感冒生薬エキスの解析は30種類が終了したばかりである。手に入る100種類を目標に網羅的に解析する。解析方法は既に過去に多数行っており、フローサイトメトリー分析や養子移植実験、免疫組織染色、サイトカイン定量等を行う。実験は研究代表者である内山雅照が行う。大学院生である殷恩智も研究に協力している。免疫組織染色は獨協医科大学医学部マクロ解剖学教室の機器を借用して我々自身が行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
・マウス繁殖が予想より順調であり、追加購入するマウスが少なかった。 ・手術用機材、薬剤(麻酔薬、縫合糸など)を節約し、当該年度の追加購入を控えることが出来たため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度研究経費は平成27年度同様ほぼ消耗品である。研究設備は既存の設備(新見正則研究室)で全く問題ない。移植にはマウスがレシピエントとドナーで2匹必要である。CBAとC57BL/6はそれぞれ2000円程度であり、1移植あたり4000円が必要となる。1群には少なくとも10組必要であり、漢方エキス剤148種類、それらの構成生薬を約100種類となると100種類×10組×4000円=400万円となる。このマウス購入費を減らすために、帝京大学中央動物センターと研究室においてマウスの交配を行っている。交配させるマウスの購入は必要であるが、すべての実験に必要な数を購入するよりも約10分の1となる。飼育費用は別途必要で、この研究計画書の実験を行うには交配用マウスの購入費用とマウスの飼育費用で約80万円となる。免疫学的解析費用は細胞分離用のビーズやフローサイトメトリ―用抗体、サイトカイン測定キット、リンパ球培養キットのものである。
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