研究課題
膵嚢胞性腫瘍の質的診断、および良悪性診断は、画像検査では、困難であることをしばしば経験する。本研究では、膵嚢胞性腫瘍の新たな診断法の確立のため、超音波内視鏡下経穿針的嚢胞壁生検による、組織採取の可能性を検討した。超音波内視鏡下経穿刺針的嚢胞壁生検(EUS-TNCB)を2例に施行。1例は71才女性、膵頭部に32mm大の嚢胞性病変に対し、EUS-TNCBを施行。硝子化した繊維結合間質とともに、淡抗酸性の胞体と小型の核を有する腺上皮が断片化して出現しており、粘液は目立たなかった。免疫組織学的には、Ki67陽性細胞は判然とせず、p53は少数弱陽性を呈していた。明らかな悪性所見は認めず、術後2年経過を見ているが、嚢胞性腫瘍の増大はなく、また、膵悪性疾患は認めていない。もう1例は、48才男性、膵体部に20mm大の嚢胞性病変を認め、内部に結節を疑う病変があった。同部位に対しEUS-TNCBを施行。組織学的には,末梢血および既存の腺房組織とともに、繊維性結合間質が採取されていた。検体中、明らかな悪性所見は認めず、術後1年経過を見ていたところ、やはり、嚢胞内に結節を疑う病変を認め、外科的切除を行う方針となった。両病変とも、EUS-TNCBでは、繊維性結合間質が多く採取されており、膵の嚢胞性腫瘍の質的診断は、十分であるとは言えない。得られた検体から核酸を抽出し、次世代シーケンサーによる遺伝子変異解析の結果と合わせて、膵嚢胞性腫瘍の新規診断法になりうるかどうか、解析をすすめる。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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