研究課題/領域番号 |
15K19302
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
土岐 康通 旭川医科大学, 大学病院, その他 (90596280)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヘプシジン / スプライシングバリアント |
研究実績の概要 |
血清exosome中のmessenger RNAの抽出するため,患者血清よりTotal Exosome Isolation (from Serum)(Invitrogen)を用いてexosomeを回収し,次に,Total ExosomeRNA and Protein Isolation Kit(Invitrogen)で全RNAを抽出した.この際,遠心濃縮機を用いてRNAの濃縮操作を加えた.ゲル電気泳動でexosomeRNAが抽出されていることを確認した. 次に血清exosome中のヘプシジンmessenger RNAの検出を行った.wild-typeヘプシジン messenger RNA,およびvariant-typeヘプシジンmessenger RNAに特異的なTaqManプローブを用い,QuantStudio 3D Digital PCR System (Applied Biosystems)を用いて,血清exosome中のヘプシジンmessenger RNA定量を行った.この際,直接,digital PCRで検出しようとしたが,検出することができなかったため,digital PCRで検出する前にPCRでmessenger RNAを増幅することにより検出可能となった. これまでに血清を保存していた肝癌患者,肝硬変患者,健常人血清におけるヘプシジンmessenger RNA splicing variant発現の比較検討を行った.variant typeは健常人では検出されず,肝癌患者,過去に肝癌の既往のある肝硬変患者で検出された. 上記で検出されたヘプシジン mRNA variant typeとその患者のAFP,PIVKA-Ⅱを比較検討したところ,明らかな相関を認めなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りおおむね順調に進捗しているが,血清よりexosomeを抽出する工程,exosomeからヘプシジンmRNAを抽出する工程,PCRで増幅しdigital PCRでヘプシジンmRNA wild typeおよびvariant typeを検出する工程に非常に時間がかかるため,新規の肝癌患者および他の癌患者での測定が行えなかった.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに肝癌患者でヘプシジンmRNA variant typeが検出されることを証明した.症例数の蓄積および肝癌以外の癌患者などでの測定を行い,どのような患者でヘプシジンmRNA variant typeが検出されやすいか,および従来使用されていた肝腫瘍マーカーとの比較を行う. また,今回exosome中のmRNAに着目して検討を行ってきた.exosome中のmRNAと血清中の蛋白の間にヘプシジン量の関連性があるかを検討していく.その際,ヘプシジンmRNA variant typeから産生される蛋白を定量することは困難と考えられる.まずはexosome中のヘプシジンmRNA wild type量と血清中のヘプシジン(蛋白濃度)量の関連性を検討していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
測定の工程に関して,それぞれ予想以上に時間がかかり,予定していた測定数に届かなかったことから,測定に使用する試薬や物品が予定より少なくなってしまった. また研究試薬や物品に関して,これまでに当教室で使用していた物品や試薬が残っており,購入予定であった試薬や物品が少なくなったことも挙げられる.,
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画に追加してexosome中のヘプシジンmRNAと血清中のヘプシジン蛋白濃度の関連性の検討を予定した.ヘプシジン蛋白濃度の測定にはELISAを用いる計画であり,そちらの購入資金に使用することを考えている.
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