研究課題
線維化を伴う消化器疾患は数多く存在し、狭窄に伴う通過障害や下痢などのQOLの低下を招く重篤な症状が出現する。炎症性腸疾患ではTGF-β、colagenous colitis、放射線性直腸炎では増殖因子、好酸球性食道炎ではIL-13の過剰発現が認められ、消化管線維化には様々な因子が関与しているものと考えられている。私はpreliminaryな検討で、菌由来活性物質が慢性腸炎モデル(DSS腸炎、TNBS腸炎)におけるTGF-β経路の過剰発現を抑制し、線維化を改善することを見出した。本研究の目的は、消化管線維化をきたす、様々なマウスモデルにおいて線維化を改善する腸内細菌由来活性物質を新たに同定し、その効果を明らかにすることで、新規の消化管線維化治療薬開発の基盤的成果を得ることである。本研究は、消化管線維化形成の病態について、菌由来の活性物質を介した宿主‐腸内細菌相互作用の異常という側面から明らかにしていくという、極めて独創的な研究である。本研究により、消化管線維化形成における宿主‐腸内細菌相互作用の異常の関与が明らかになる。また、種々の線維化メカニズムに対応した菌由来抗線維化物質が同定できれば、様々な疾患に効果を持つ新規線維化治療薬の開発につながるものと考えられる。抗線維化物質の同定を目指しているが、有意な抗炎症・抗線維化作用の証明が出来ておらず、今後も解析をすすめる。
3: やや遅れている
乳酸菌や酪酸菌などの培養上清より、消化管線維化を改善する活性物質の同定を目指して研究をすすめている。数種類の候補物質は同定したが、各種マウス腸炎モデルや細胞株での解析では、有意な抗炎症作用・抗線維化作用を明らかにできていない。
他のプロバイオテイクスを用いて同様の検討をすすめていく。また他の線維化を呈する疾患モデル(術後腸間癒着モデルやケロイドモデルなど)での線維化改善効果についても並行して解析していく。
ほぼ計画通り使用したが端数がでてしまった。
次年度以降の物品費などに用いる予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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