研究課題
線維化を伴う消化器疾患は数多く存在し、狭窄に伴う通過障害や下痢などQOLの低下を招く重篤な症状が出現する。本研究では、消化管線維化をきたす、様々なマウスモデルにおいて線維化を改善する腸内細菌由来活性物質を新たに同定し、その効果を明らかにすることで、新規の消化管線維化治療薬開発の基盤的成果を得ることを目指した。In vitro(TGF-βやIL-13、各種増殖因子などで線維化を促進させた線維芽細胞株など)およびマウス慢性腸炎モデルに乳酸菌や酪酸菌などの培養上清を投与し、線維化抑制活性を持つ培養上清を選択し、さらに各種カラムにて分離、HPLCにて活性物質を同定、質量分析や糖鎖分析などの手法を用いて活性物質の構造の同定を目指し、繰り返し解析をすすめたが、新規線維化抑制物質の同定には至っていない。消化管線維化には、腸管上皮細胞・免疫細胞(マクロファージなど)・線維芽細胞が密接に関与している。麦芽乳酸菌の培養上清から同定した抗炎症物質である長鎖ポリリン酸は、マクロファージからの炎症性サイトカイン産生を抑制することは明らかにしていたが(Kashima S, Transl Res, 2015)、マクロファージへの作用メカニズムは不明であった。THP1細胞(マクロファージ様細胞株)を用い、トランスクリプトーム解析を行い、マクロファージ細胞膜のTLR4を介して作用すると想定された。現在、TLRの阻害物質・活性化物質を用いることにより、長鎖ポリリン酸の、マクロファージを含めた免疫細胞への作用メカニズムの解析をすすめ、消化管を含めた、全身疾患(免疫異常)の治療につながるよう検討していく予定である。
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