研究課題
炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)の多くは初回治療(ステロイド、抗TNFα製剤、免疫調整剤)に反応し、時間経過とともに治療抵抗性となることが知られている。その治療抵抗性のメカニズムについては未だ明らかになっていない。最近、本申請者は炎症性腸疾患炎症局所からCD4 Effector memory T cellを精製し、網羅的DNAメチレーション解析を行い1.潰瘍性大腸炎ではT cell receptor シグナル経路及び副刺激経路であるiCOSシグナル経路が高度に脱メチル化していること、2.クローン病ではアポトーシスを正にコントロールする遺伝子群が高度にDNAメチル化されていることを確認している。本研究の目的は1の現象と潰瘍性大腸炎ステロイド抵抗性、2の現象とInfliximab抵抗性が強く関連するかどうかを確認することである。手術を施行された活動期CD13例、活動期UC 5例を対象とした。手術標本よりCD4+ Effector Memory T CellをMACSを用いて分離・精製し、解析対象である61遺伝子領域(潰瘍性大腸炎ステロイド抵抗性については36領域、Infliximab抵抗性については25領域)のDNAメチル化をInfinium HumanMethylation450 BeadChip arrayを用いて定量比較を行った。ステロイド抵抗性、抗TNFα製剤抵抗性との関連について、種々の統計による比較検討を行ったが、有意な関連を認めることができなかった。この結果は炎症性腸疾患治療抵抗性はエピゲノム修飾と関係していない可能性を示しているが、解析対象数も少なくさらに慎重な検討が必要である。
すべて 2018
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PLoS One.
巻: 13 ページ: e0194036
10.1371/journal.pone.0194036