C57BL/6系マウスに感染可能なピロリ菌、PMSS1株の組み換えを行った。組み換えが可能であることを確認するために、ピロリ菌ゲノム内のCagA遺伝子を相同組み換え法によりKOした。 まず、CagA遺伝子内にカナマイシン耐性遺伝子を挿入した組み換えベクターを作成した。その後、PMSS1株を形質転換した。蛋白、発現解析によりCagA遺伝子が、ノックアウトされていることが確認できた。次に、CagA遺伝子にCre遺伝子が融合するタンパクを発現させるためのベクターを同じくカナマイシン耐性遺伝子を付加して作成した。同様の方法で、PMSS1株への形質転換を試みたが、抗生剤でのセレクション後もタンパク発現解析では、Cre発現が確認できなかった。PCRによる挿入解析では、Cre遺伝子の存在が確認できたため、ピロリ菌がCreタンパクを翻訳できない可能性が考えられた。次に、CagAがノックアウトされたピロリ菌を、胃癌細胞株AGSに感染させJNKのリン酸化が起こるどうかを確認した。結果は、CagAWT株では、JNKのリン酸化が誘導されるが、KO株では誘導されなかった。
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