研究実績の概要 |
まず、胃神経内分泌癌における遺伝子増幅を解析し、HER2, KRAS, FGFR2の増幅を同定した。遺伝子増幅しているHER2、KRAS、FGFR2について、免疫染色を行った結果、いずれについても癌部での発現が認められた。以上より、遺伝子増幅が発現亢進の原因となっており、これらの癌遺伝子の増幅は、腫瘍の増殖に寄与しているものと考えられた。 次に、胃神経内分泌癌に特異的なDNAメチル化異常として、本解析により13遺伝子(RPL37, ZNF175, SLC7A5P1, HAPLN3, GNG7, CCDC126, ZFP3, EIF2C1, HFN1B, ZNF665, TLE1, TMCO1, TMPRSS2)を初めて同定した。13遺伝子は、正常胃粘膜の発現アレイの解析から、胃粘膜での発現が高いと考えられた。データベースサーチの結果、HAPLN3とGNG7の発現はDNAメチル化により制御されており、更に前立腺癌及び頭頸部癌で生存予後のマーカーとして報告されていた(Strand SH et al., Int J Mol Sci, 2004、Demokan S et al., Int J Oncol, 2013)。TLE1は腫瘍増殖作用、及び、抑制作用が各臓器で報告されてきたが、最近、TLE1がNF-kBシグナルを抑制することが報告された(Ramasamy S, Proc Natl Acad Sci, 2016)。これらの遺伝子のサイレンシングにより細胞の増殖動態や分化段階が変化する可能性があると考えられた。
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