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2016 年度 実績報告書

亜鉛トランスポーターによる腸管上皮幹細胞維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19319
研究機関富山大学

研究代表者

大橋 若奈  富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (50381596)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード亜鉛トランスポーター / 腸管上皮細胞 / 小胞体ストレス
研究実績の概要

必須微量元素である亜鉛の恒常性は亜鉛トランスポーターによって維持されており、亜鉛トランスポーターは二つのファミリーからなる。細胞質へ亜鉛を輸送するZIPファミリーと細胞質より亜鉛を排出するZnTファミリーである。ZIP及びZnTトランスポーターは、哺乳類においては20種ほどが同定され、それぞれ特徴的な発現様式を示している。亜鉛トランスポーターは単に亜鉛の流出入を媒介するのみならず、亜鉛の輸送を介して様々なシグナル伝達制御に関与することが示されつつある。しかしながら、個々の亜鉛トランスポーターの生物学的機能については未だ十分には解明されていない。
本研究の目的は、腸陰窩に発現する亜鉛トランスポーターZIP7の腸管上皮細胞における役割を明らかとする事である。前年度までに、タモキシフェン誘導性腸上皮細胞特異的ZIP7欠損マウスを樹立し解析に着手した。その結果、腸上皮におけるZIP7の欠損は腸上皮恒常性を著しく損ない、腸陰窩に存在する腸上皮幹細胞と増殖細胞が消失する事を見出した。腸陰窩には、腸管上皮幹細胞、幹細胞から生み出される増殖性のTA細胞、パネート細胞が存在する。電子顕微鏡による解析の結果、ZIP7欠損により約半数において細胞内小器官の変性や脱顆粒を起こしている様子が観察され、ZIP7はパネート細胞の維持においても機能していることが示唆された。更に、ZIP7による腸上皮恒常性維持の分子機構を探るため、腸上皮幹細胞レポーターマウスを用いての解析により、ZIP7欠損により増殖性のTA細胞において小胞体ストレス応答とアポトーシス誘導に関わる遺伝子群の発現の亢進が特に顕著である事が見出された。ZIP7は増殖性のTA細胞の小胞体ストレスの解消に関わり、腸上皮恒常性の維持を担っていることが考えられた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Institut Curie(France)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Institut Curie
  • [雑誌論文] Emerging role of zinc homeostasis by zinc transporter ZIP7 in intestinal homeostatic self-renewal2017

    • 著者名/発表者名
      Ohashi W, Hase K, Fukada T.
    • 雑誌名

      Inflammation & Cell signaling

      巻: 4 ページ: e1509

    • DOI

      10.14800/ics.1509

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Zinc transporter SLC39A7/ZIP7 promotes intestinal epithelial self-renewal by resolving ER stress2016

    • 著者名/発表者名
      Ohashi W, Kimura S, Iwanaga T, Furusawa Y, Irie T, Izumi H, Watanabe T, Hijikata A, Hara T, Ohara O, Koseki H, Sato T, Robin S, Mori H, Hattori Y, Watarai H, Mishima K, Ohno H, Hase K, Fukada T.
    • 雑誌名

      PLOS Genetics

      巻: 12 ページ: e1006349

    • DOI

      10.1371/journal.pgen.1006349

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Critical role of endogenous histamine in promoting end-organ tissue injury in sepsis2016

    • 著者名/発表者名
      Hattori M, Yamazaki M, Ohashi W, Tanaka S, Hattori K, Todoroki K, Fujimori T, Ohtsu H, Matsuda N, Hattori Y.
    • 雑誌名

      Intensive Care Med. Exp.

      巻: 4 ページ: 36

    • DOI

      10.1186/s40635-016-0109-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 腸管恒常性における亜鉛トランスポーターの役割 “The role of Zinc transporter in the maintenance of intestinal epithelial homeostasis”2016

    • 著者名/発表者名
      大橋若奈
    • 雑誌名

      亜鉛栄養治療

      巻: 7 ページ: 22-34

  • [学会発表] 亜鉛トランスポーターによる小胞体ストレスと腸管上皮恒常性の制御機構2016

    • 著者名/発表者名
      Wakana Ohashi, Koji Hase, Toshiyuki Fukada
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] 腸管恒常性における亜鉛トランスポーターの役割2016

    • 著者名/発表者名
      大橋若奈
    • 学会等名
      第13回 亜鉛栄養治療研究会
    • 発表場所
      大阪新丸ビル
    • 年月日
      2016-08-05
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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