本研究では、塩化ベンザルコニウムによる腸管神経損傷後、新生神経細胞の出現が野生型マウスと比較してc-Kit変異マウスにおいて顕著に観察されることを明らかにした。この新生神経細胞は、通常神経節細胞が存在しない縦走筋層または漿膜下に存在する異所性の新生神経細胞である。また損傷後3週で既に腸管神経系に含まれる各神経サブタイプに分化しており、微細構造上も通常の神経節と同等の神経節を構成していた。さらに、c-Kit inhibitorの野生型マウスへの投与で、この異所性新生神経細胞の出現が有意に上昇したことから、c-Kitシグナリングが腸管神経細胞の損傷後の再生を抑制的に制御している可能性が示唆された。
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