研究課題
炎症性腸疾患における制御性B細胞の機能および臨床応用を目指した基礎検討を目的とした。正常大腸においては、制御性B細胞は認められなかったが、DSS腸炎モデルを用いた検討では、腸炎急性期では認められなかった制御性B細胞は、腸炎回復期に認められるようになった。このことから、IL-12産生B細胞は炎症にともなって誘導されるinducibleなB細胞集団であることが判明した。次に、このIL-12産生B細胞が腸炎時にどのような機能を有しているかを検討するために、B細胞欠損マウスに野生型マウスおよびIL-12欠損マウスから単離したB細胞を輸注するモデルを用いて検討したところ、B細胞欠損マウスおよびIL-12欠損B細胞輸注マウスで腸炎が著明に悪化し、野生型マウスから単離したB細胞輸注マウスの腸炎は軽症であった。このことから、腸炎誘発時にはIL-12産生B細胞が腸炎改善に働いている可能性が示唆された。この産生されたIL-12が腸炎時どのように腸炎保護的に機能性しているかを検討した。IL-12は大腸においてIL-10+IFNγ+CD4+T細胞を誘導し、腸炎収束に寄与することが報告されている。上記のモデルを用いて、腸炎時におけるIL-10+IFNγ+CD4+T細胞の発現数を検討した。B細胞欠損マウスおよびIL-12欠損B細胞輸注マウスでは、IL-10+IFNγ+CD4+T細胞が認められず、野生型マウスより単離したB細胞を輸注したマウスでは、野生型マウスと同程度のIL-10+IFNγ+CD4+T細胞が誘導されていた。これらのことから、IL-12産生B細胞は、腸炎時には、IL-10+IFNγ+CD4+T細胞を誘導し、腸炎収束に寄与している可能性が示唆された。
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