研究課題/領域番号 |
15K19330
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岩本 拓也 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80634716)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エネルギー / アデニル酸 / 肝臓 / 線維化 |
研究実績の概要 |
肝星細胞のエネルギー代謝に着目し関わる酵素に着目し遺伝子発現を制御することで肝星細胞の活性化の変化とメタボローム解析やエネルギー代謝、ミトコンドリア活性の変化に着目し評価を行うことを目標に研究を行った。肝星細胞由来の培養細胞であるLI90、HHstec細胞を用いて、活性化星細胞におけるエネルギー代謝に関わる遺伝子発現をsiRNAでノックダウンを行い変化を調べた。Alpha smooth muscle actinやmatrix metalloproteinaseなどいくつかの遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRで解析評価を行い、アデニル酸キナーゼとクレアチンに着目することとした。アデニル酸キナーゼをノックダウンしたHHstec細胞をマイクロアレイで発現の評価を行い、いくつかの興味深い発現の変化を認めた。特に細胞内解毒に関わる遺伝子の発現上昇が認められたことから、なぜアデニル酸キナーゼのノックダウンを行うことでこのような遺伝子発現変化が起るか現在詳細な解析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度計画として次の3つの計画を挙げている。 計画1: 肝星細胞におけるエネルギー代謝に関わる酵素の解析 計画1では肝星細胞由来の培養細胞であるLI90、HHSTECを用いてエネルギー代謝に関わるアデニル酸キナーゼ(AK)、クレアチンキナーゼ(CK)に関わる酵素に着目して解析を行った。 計画2: 遺伝子発現調節による肝星細胞の遺伝子発現および代謝の解析 目的遺伝子のノックダウンした株のマイクロアレイ解析を行い遺伝子発現の網羅的解析を行った。 計画3: 遺伝子発現変化を行った細胞の解糖系代謝解析 平成27年度は解糖フラックスの3つのパラメーターであるグルコース代謝(Glycolysis) 、解糖能(Glycolytic Capacity)、解糖予備能(Glycolytic Reserve)を評価することはまだできていないが、この手技はこれまで確立しており28年度に行うことが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアデニル酸キナーゼをノックダウンすることで起こる遺伝子発現の原因を調べるために、ノックダウン細胞の代謝解析をミトコンドリア代謝に着目して行う。代謝に関わる酵素の活性低下や薬剤投与の効果の評価にミトコンドリア活性を測定することは重要である。特に基礎代謝測定だけでは明らかにできない、ミトコンドリア機能評価における重要な4つの指標である基礎呼吸、ATP代謝回転、プロトンリーク、最大呼吸(予備呼吸能)を測定し細胞ストレスへの反応を評価する。またこれまでに得られたマイクロアレイのデータをより深く解析する予定である。特に細胞内解毒に関わる遺伝子の発現上昇についてそのメカニズム解析を行うことでアデニル酸キナーゼの機能を詳しく知ることができると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に遺伝子発現変化を行った細胞の解糖系代謝解析、解糖フラックスの3つのパラメーターであるグルコース代謝(Glycolysis) 、解糖能(Glycolytic Capacity)、解糖予備能(Glycolytic Reserve)を評価する予定であったが、その他の検討項目にかなり時間を要し、平成28年度に施行する予定に変更したため。
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子発現変化を行った細胞の解糖系代謝解析、解糖フラックスの3つのパラメーターであるグルコース代謝(Glycolysis) 、解糖能(Glycolytic Capacity)、解糖予備能(Glycolytic Reserve)に関する解析手技はこれまでに確立しており、平成28年度に行うことが十分可能と考えている。また、国際学会での研究成果の発表も複数回予定している。
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